人が「変われない」本当の理由
以下は『幸せになる勇気―自己啓発の源流「アドラー」の教えII』の文章です。
アドラー心理学では、「人が変われない理由」をこのように考察しています。
哲人 われわれは、いつでも自己を決定できる存在である。あたらしい自分を選択できる存在である。にもかかわらず、なかなか自分を変えられない。変えたいと強く願いながらも、変えられない。いったいなぜなのか。……あなたのご意見はいかがですか?
青年 ほんとうは変わりたくないから?
哲人 そういうことです。これは「変化とはなにか?」という問いにもつながっています。あえて過激な表現を用いるなら、変化することは、「死そのもの」なのです。
青年 死そのもの?
哲人 たとえばいま、あなたが人生に悩んでいるとしましょう。自分を変えたがっているとしましょう。しかし、自分を変えるとは、「それまでの自分」に見切りをつけ、「それまでの自分」を否定し、「それまでの自分」が二度と顔を出さないよう、いわば墓石の下に葬り去ることを意味します。そこまでやってようやく、「あたらしい自分」として生まれ変わるのですから。
では、いくら現状に不満があるとはいえ、「死」を選ぶことができるのか。底の見えない闇に身を投げることができるのか。……これは、そう簡単な話ではありません。
だから人は変わろうとしないし、どんなに苦しくとも「このままでいいんだ」と思いたい。そして現状を肯定するための、「このままでいい」材料を探しながら生きることになるのです。
(中略)
哲人 それでは、「いまの自分」を積極的に肯定しようとするとき、その人の過去はどのようなトーンで彩られると思いますか?
青年 ああ、つまり……。
哲人 答えはひとつ。すなわち、自分の過去について「いろいろあったけど、これでよかったのだ」と総括するようになる。
青年 ……「いま」を肯定するために、不幸だった「過去」をも肯定する。
哲人 ええ。先ほどあなたの言った「あのとき厳しく叱ってくださって、どうもありがとうございました」と感謝の言葉を述べる人。彼らは「いまの自分」を積極的に肯定しようとしているのです。結果、過去のすべてがよい思い出になる。
人は誰しも「変化」を嫌います。
だから「変化」を避けるために、「今の自分」を肯定します。
「今の自分」を肯定するために、「過去」に色を塗り自分に都合よく解釈します。
「過去」は存在しない
人は誰もが「過去」は「今の自分」の正当性を証明するために、自由自在に書き換えてしまいます。
過去に起こった膨大な出来事の中から、今の「目的」に合致する出来事だけを選択し、意味づけをし、自分の記憶としています。
そういった意味で、アドラーは「『過去』は存在しない」と言っています。
変わるための唯一の方法
変化をするためには「これからどうする?」と考えます。
人は「これからどうする?」を考えれば、選択肢が生まれ、その中身を考え始めます。
- 「どうしてこんな点数になったの!?」
- 「なんでもっと早くから勉強しなかったの」
- 「この点数じゃ高校行けないわよ」
- 「こんな結果に何か思わないの!?」
このような「ダメだった理由」を考えさせる言葉は、
- 「授業がわかりにくいから」
- 「先生が変わって問題形式が変わったから」
- 「調子が悪かったから」
- 「テスト前体調が悪くてちゃんと勉強できなかったから」
と、自己防衛としての「言い訳」を引き出すだけになってしまいます。
そうではなく
- 「次のテストで英語をできるようにするにはどうする?」
- 「次回のテストはもっと早めにテスト勉強を始めるために、次はどうする?」
と建設的な質問をしてあげましょう。
高校生も同様に、上のような建設的(よりよくしようとする積極的)な質問を”自分自身”にしてあげる。
そうすればやるべきことも見えてきます。
相手にも自分自身にも、自分が普段どんな質問をしているか考えてみてください^ ^
やまだゆうすけ
こんにちは!Makeage(メイケージ)教室長の山田優輔です^ ^
第1回目のテストの結果が返ってきて、
「点数が上がった!」と喜んでいる人もいれば、「なかなかうまくいかなかった…」と落ち込んでいる人もいるかもしません。
そんなことを考えて、子どもに変わってほしいからこそ、いろんな言葉をかけると思います。
そこで今回は「解決につながらない言葉がけ」と「解決につながる言葉がけ」を、「人が変われない理由」と絡めて紹介します!